
The patriarchs : how men came to rule by Angela Saini 2023
邦題:家父長制の起源 男たちはいかにして支配者になったのか
イギリス人ジャーナリストによる家父長制分析。
目次
目次
はじめに
第一章 支配
第二章 例外
第三章 起源
第四章 破壊
第五章 制限
第六章 疎外
第七章 革命
第八章 変化
おわりに
冒頭、母系社会の世界地図が掲載されている。現在では人類学者によって160以上の母系社会が確認されている。北海道にも点があった。
多くの地域は、父系社会であり、本書はそれが増えたのかを丹念に追っている。性差は、生物学的な必然ではなく、文化的・歴史的な文脈に根ざしたもで、農業の定着、富の蓄積、国家の形成にしたがい、男性社会が強くなったと主張しています。男の神様が増えるというのも、面白いですね。
単なる分析ではなく、第7章 革命 (Revolution)では、どのように改革者が立ち上がったかについても記述していました。たとえば、Frances Hassoの悪魔の取引(devil’s bargain)。
Reform from the inside may feel necessary and useful at the time, but the downside is that ‘fresh thinking on secxual and family life is foreclosed’in the process. It becomes harder to push for a bold reimagining of society when people have been pacified with smaller changes. p.223
単純に異議を申し立てれば変わるというものでないのは十分に認識されてます。
最近の研究で人類の男女の役割が公平だった時代が長くあったことを理解できました。埋葬品や骨格から女性の地位を類推していました。
本書で引用されている多くの研究者のことを私は知りませんでした。意識しないと、そういう情報は普段耳に入ってきませんね。
90年代にカンボジアに行った時、遺産が女系相続されていました。結婚するために、男性はお金をためて、女性の家に入れてもらう必要があったのです。
トランプ政権の出現でDEIに逆風が吹いていますが、こういう勉強は続けていこうと思いました。
参考
