W・チャン・キム, レネ・モボルニュ ランダムハウス講談社 2005/6
INSEADの2人の教授による戦略論。
- レッド・オーシャン:従来の市場で競争している状況。
- ブルー・オーシャン:市場を創造してその市場が無限に広がっている状況。
他社がマネできない商品・サービスを作り出せば、大きく利益を伸ばすことができる。しかし、他社がカンタンに追いつける場合には、消耗戦になる。当たり前だが、ほとんどの会社は、直視できない事実を丹念に書いてあります。
ブルー・オーシャンを創造するための分析手段として、イ)価値曲線(Value Curve)、ロ)4つのアクション、ハ)アクション・マトリクスを提唱しています。
イ)価値曲線
成功要因(KFS)を横軸に、各項目のレベルを縦軸に描いた曲線。
ロ)4つのアクション
戦略上、KFSで操作する4つの方法のこと。
a)取り除くべきも
b)思い切り減らすもの
c)増やすもの。
d)付け加えるべきもの
ハ)アクションマトリクス
4つのアクションをマトリクスに並べたもの。
実際に、ブルー・オーシャンを生み出す際に考えていくヒントが次の6つです。
- 同業
- 代替産業
- 買い手
- 補完材
- 機能特性と感性志向
- 時間軸
顧客の必要なものは何かを考え、それを実現するために、引き算するものと足し算するものを考える。言われてみれば当たり前なんですが、なかなかできないものですね。
シルク・ド・ソレイユは、サーカスから動物(費用がかかる)を引き算して、芸術性を足しました。たしかに、テレビで世界中のスリリングな映像を見ている人にとって、ライオンの曲芸は、必ずしも最高のエンターテイメントにならないわけです。
実例も豊富で的確です。日本だと、iモードやQBハウスが取り上げられてますね。
戦略立案にあたっては、以下の順番で考えることを薦めています。
- 買い手にとっての効用
- 価格
- コスト
- 実現する手立て
買い手の効用を考える上では、顧客の経験を6つのステージに分け、各段階で効用を生み出す6つの要素を考えるのだそうです。
1.顧客経験の6つのステージ
イ)購入
ロ)納品
ハ)使用
ニ)併用
ホ)保守
ヘ)廃棄
2.効用を生み出す6つの要素
イ)顧客の生産性
ロ)シンプルさ
ハ)利便性
ニ)リスク
ホ)楽しさ、好ましいイメージ
ヘ)環境へのやさしさ
表現も平易で、コンパクトにまとまっており、オススメです。
では。