【本】最高裁の暗闘

最高裁の暗闘

山口進,宮地ゆう 朝日新聞出版 2011/1

あなたは、最高裁判事の名前を挙げられますか?3権分立の一角を担いながら、内閣総理大臣、衆議院議長と比較すると縁遠い最高裁判事。そのインサイド・ストーリーがわかります。最「奇岩城」の横をよく通過するのですが、そのなかではこんなドラマが展開していたんですね。

小法廷は5人による合議制。判決を出すにも裁判官の個性が出ること、3名(多数派)を形成するために駆け引きがあること、任期が長く、チームが固定されている影響など興味深い指摘がありました。

少数意見がやがて次の時代の多数意見として定着する様子は、印象的です。「米国編」に、Lilly Ledbetter Fair. Pay Act of 2009 の話が紹介されています。これと比較することで、日本の裁判所と議会の関係が見えてきます。

特捜の情報を連日報道するわりには、もっと重要な最高裁判決の報道はあまり読んでいませんでした。その背景分析になるとさらに少ないのではないでしょうか。本書は貴重ですね。

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