【本】金融NPO


金融NPO
藤井良弘 岩波新書 2007/7

元日経のNPOファイナンスルポ。98年の金融危機から10年。ふたたび、クレジットクランチの様相をみせる日本金融界をみていると、市場原理では解決できない金融の問題について巻がることは、意義があると思います。
元日経記者らしい丹念な取材で、こうした地域金融の取り組みが、日本の過去にはあったし、地方にもあるし、世界にもあることがよくわかりました。
私も、銀行員時代は、社会のために仕事をしているつもりでした。しかし、営利組織であるがゆえに徐々に変質していく様を内側から見る結果になりました。営利組織としての金融ももちろん大切なのですが、「意思のあるお金」を生かすという発想は、今後、高齢化社会を迎える日本にとって大切なことですね。
過去の例では、頼母子講など。地方の例では、岩手県消費者信用生活協同組合、北日本銀行など。最近の動きとして、Mr.Childrenの桜井さんが取り組むAPバンクなどが紹介されています。
英米の例では、CDFI、Boston Community Capital、イリノイ・ファシリティ・ファンド、Non profit Finance Fund。最終的に銀行になってしまった例として、トリオドス銀行(オランダ)、GLS銀行(ドイツ)、チャリティ銀行(イギリス)が紹介されていました。
チャリティ銀行の方針は、「人を見て貸す」。

営利金融も非営利金融も人を重視することが決めてとなる。人を見失った金融は、金融本来の役割を果たせない。p.229

マイクロファイナンスは、ユヌス氏のノーベル賞受賞で注目が集まりました。この本を読むと、NPOファイナンスの広がりを実感でき、元気をもらえます。

では。

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