日本の経常収支推移を見てみました。ひと目でわかるのは、東日本大震災以降、貿易サービス収支が赤字になっていったのに対し、第一次所得収支(対外金融債権・債務から生じる利子・配当金等の収支状況)の黒字が増えていったことです。

私の人生と重ねてしまいます。地震で日本のメーカーが海外へ目が向いたのが2012年。私もシンガポールに移住しました。東南アジアで日本企業がどれほどの努力をしてきたか。私も目にしてきました。競争力のある工場がどんどん東南アジアに出ていき、外国人が稼いだお金の配当で日本が食べる時代になりました。
高市議員は、トラス・ショック当時のイギリスは、国際経常収支は赤字だったが、日本は黒字なので大丈夫、とのことですが、実情はとても心もとないということでしょう。
第一次所得収支は、日本企業が海外で歯を食いしばって頑張ってきた成果であり、現地で働いている多くは外国人です。最近の伸びは円安でしょう。
オランダは、シェルが本社をイギリスに変えるという事件がありました。あの「ロイヤル・ダッチ・シェル」ですら、政府の産業政策が不十分であると、他国に引っ越してしまいます。
2022年1月にシェルが引っ越すと、オランダの経常収支は、2021年の1057億ドルから692億ドルへと365億ドルも減りました。すべてがシェルのせいではないでしょうが、第一次所得収支は、多国籍企業の動向で大きく変わるものなのです。
そういう意味でも、日本の政治家は、国際競争にさらされておらず、甘いと思いました。
では。