テゴシオ

毎日、ニュースを読んでいると、面白い並びから時代が見えることがあります。最近だと、手越祐也さんのYouTube会見と、電通の持続化給付金の報道でした。

前者は評価が真っ二つ。オジサンが不機嫌になるのに対し、若い娘は応援するという。40歳以上のコメンターが並ぶワイドショーでは、のきなみ否定的なトーン。しかし、彼のYouTube チャンネルは、登録者数が70万人、再生回数1000万回を10日間で達成しています。

一方、電通は、ブランディングのプロであるのに、自社の評判はガタ落ち。広告代理店って、政府の事務作業を引き受けるんだっけ?という、気持ちの悪さ。

2つのニュースを続けて読むと、1998年を思い出しました。

19982020
金融危機コロナ危機
取り付け騒ぎ自粛警察
インターネット普及5G普及
企業家タレント
証券会社経由事務所経由
証券取引所テレビ局←広告代理店←スポンサー
個人投資家ファン
人力の株取引人力のタレント管理
オンライン株取引SNSで直接ファン交流

1998年当時、企業が、個人投資家から資金調達をしようとすると、証券会社に依頼するしかありませんでした。個人も、証券会社に電話をかけて、株を買っていました。証券取引所も、人力で、かつては、場立ち(ばたち)と呼ばれる人たちが、株価を音読みしてたこともあります。取引ルートは、コントロール&寡占されており(単線)、仲介者が儲かる仕組みになっていました。

金融危機の後、大蔵省以下の既存プレーヤーが自信をなくし、インターネットという新しい技術がでてきたこともあり、オンライン証券が誕生しました。個人投資家は、プロ並みの情報(昔は、板情報、見れませんでしたもんね)を得て、ネットで注文を出すようになりました。売買手数料は大幅に下がり、企業と個人投資家はかつてないほど、蜜にコミュニケーションを取るようになりました。

振り返れば、「アンバンドリング」が起こったとも言えます。それまで、ひと束(Bundling)になっていた取引ルートが、オンライン証券会社、事務専門会社、情報提供会社などにバラバラになり(Unbundling)、複数のルートを通じて、個人が投資できるようになっていきました。

これを補助線として、手越さんの会見を見ると、同じようなことがエンターテイメント界にも起こっているように見えます。コロナ危機で、キー局以下のプレイヤーが番組制作ができなくなり、あちこちでYouTuberが誕生しました。ファンは、ギョーカイ人並の情報(昔は、ジャニーズのタレントの入浴シーンなんて見れませんでしたね)を得て、スマホで贔屓のタレントを見るようになりました。タレントを見る費用は劇的に下がり、タレントとファンはかつてないほど密なコミュニケーションを取るようになりました。

YouTube
作成した動画を友だち、家族、世界中の人たちと共有

エンタメ界でもアンバンドリングが起きているんですね。タレントのマネジメントをする人、カメラマン、音声さん、メイクさん、ビデオ編集者、ディレクターなどが、個人ベースで契約し、スポンサーは、YouTube(人工知能)が連れてくるようになった。

思い出すのは、フィンランドにいた手越さんのファン。私はNewsの曲を1つも知りませんが、手越さんは、日本から8000km 離れたヘルシンキの女性を夢中にさせていました。彼女は、イッテQからフィンランドに来るのは、森三中やイモトさんで、手越くんでないことに真剣に嘆いていたわけです。彼女が、手越くんのYouTubeやTwitterを喜んでいることは間違いないでしょう。

こうして振り返れば、彼を咎めているオジサンが、アンバンドリングで不利になる人たちであるように見えます。かつての場立ちさんたちと重なって見えますね。手越さんが退所になった原因である行動の是非はさておき、アンバンドリングは、止められないのだと思います。

手越(テゴ)+電通(シオドメ)でテゴシオ?が起こした騒動は、芸能界を次のステージに連れて行ってくれそうです。

では。