
2022年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)を読みました。
https://www.jetro.go.jp/world/reports/2022/01/b672ee05dcf6dddb.html
私もアンケートに答えたことがあります。海外にある日系企業の生の声を集める貴重な調査なので、上場企業は真面目に答えていると思います。
ウクライナ戦争後の欧州事業についてのさまざまなリスクをカバーしており、それはそれで読み応えがあるのですが、今回、一番興味深かったのは、「有効回答数」でした。
2016年と比較してみましょう。この6年で143社も減りました。細かくみると、イギリスから撤退し、ドイツ、オランダや東欧に拠点を移したのがよくわかります。
イギリスが苦しくなるのも当然ですね。外国人排斥に投じた一票がこれほど祟るとは。同じ島国の教訓としたいところです。
大陸欧州に売るためには、イギリスではダメで、ドイツなのですね。経済規模からいってそうなのでしょうけど、日本と同じ直系家族の国が選択されているのは興味深いところです。大陸欧州は、日本文化から遠い核家族的な場所ではなく、むしろ、日本に近い直系家族的な場所になってきています。チェコが選ばれているのも、その文脈で理解していいでしょう。
ハンガリーが増えているのも、興味深いですね。労働者の質と労働コストのバランスでいえば、コスパが一番いいのがハンガリーなのかもしれません。
ルーマニア、セルビア、スロベニアにも進出する企業が増えているのも、日本企業の欧州の理解が深まっているのを感じるデータです。ウクライナ戦争で、東欧地域のリスクをどれほど織り込むべきか、今後議題になるでしょう。
コロナ後の欧州拠点の再編を考える日系企業には、参考になる数字ではないでしょうか。