ウェーバーがこの図を見たら何と言うでしょうか。資本主義のエートスが、プロテスタントの倫理なら、発展するのは、プロテスタントのイギリスで、カトリックのアイルランドではないはずです。
20世紀まではそうでした。1980年の一人当たりGDPを比較すれば、アイルランド($6,252)はイギリス($10,715)の6割ほどでした。
しかし、2022年では、アイルランドが102千ドル。イギリス(47千ドル)の2倍です。日本にいたっては、3倍ですね。スペインやイタリアといった他のカトリック国すべてが好調というわけではないので、カトリック全般に一般化はできませんが、資本主義に何かが起こっているのではないでしょうか。
法人税を下げて多国籍企業を招致して発展たが、リーマンショックで崩壊したぐらいのイメージでした。この10年の発展は、もう一度分析しなくてはいけませんね。
アイルランドの不幸は覇権国(当時のイギリス)に近すぎたことでした。いまでいうと台湾のようなものでしょうか。軍事費を下げるわけにもいかず、欧州最貧国。じゃがいも危機(1845) の時には、約800万人の人口が10年間に650万人に減るという悲劇がありました。人口が2割減るというのは相当な衝撃で、いまの日本でいえば、世界が食料危機になって輸入できなくなり、人口が2400万人減って、総人口が1億人割れになるようなものでしょうか。
悲劇を乗り越えて世界中に散ったアイルランド人が、いまの成長を下支えしているというのは、示唆に富んでいます。日本が30年も停滞をしたので国外に住む日本人が増えました。ある日、世界中から投資を呼び込むような政府が誕生したら、海外の日本人のネットワークが役立つかもしれませんね。
では。