
今日、図書館で仕事をしていたら、70代とおぼしきオランダの女性からパソコンの使い方を聞かれました。図書館備え付けのPCで仕事を探して、結果を印刷したかったのですが、やり方がわからないとのことでした。
これが、オランダのIT化が進む理由だなと感じました。
日本の高齢者のIQがオランダに劣るとは思いません。しかし、オランダでは高齢者もパソコンを使って役所関連の事務を終わらせるのに対し、日本ではまだ、紙(FAX)を使うのをよくみかけます。
オランダに特殊な教育システムがあるわけでもありません。一番大きいのは、転職を前提にした社会なので、いつまでもEmployable でいなければいけないからだと思います。ITに限らず、常に仕事ができるようにいろんなスキルを身につける文化があります。
絶対核家族だというのも大きいでしょう。子どもと同居しないので、老後は子どもの世話になりません。最後の最後まで、自分のことは自分でしなければならないのです。
ローコンテキストという文化も一因でしょう。どんなに簡単なことでも、見ず知らずの人にすぐ聞きます。日本のように相手をおもんばかったり、アタリマエのことはまず自分で調べるという遠慮がありません。オランダに住むと、どっからどうみてもアジア人顔の私に道を聞く人が多いので、びっくりします。
日本人は、行間を読むことが良しとされるので、ラーメン屋のマニュアルが、創業者の7訓だったりします。オランダは、アタリマエのことも詳らかに文にするので、数百ページのマニュアルを普通に整備します。
こんなこともわからないの?と思うことも多々ありますが、そうした国ほど、海外展開に向いているのは皮肉なところです。誰でもわかるようにマニュアルを最初から作れるので。日本人がラーメン店を展開すると5店舗まではうまくいくのですが、オーナーが毎週顔出せなくなった途端に味が落ちてしまうのです。
年功序列もないですね。日本は、トップのITレベルで、組織のIT度がキャップされてしまいます。オランダはそもそも職場の流動性が高いので、トップも変わります。
日本人は現場力が高くて、下手なIT化より人力が安かったりするというのも笑えない現実です。オランダはそもそも、移民が多いので、最初からシステムありきで事務を組み立てないと回りません。
そういえば、日本の図書館で見ず知らずの高齢の女性からPCの使い方を聞かれたことはないな。そう気がつくと、いろいろなことが見えたのでありました。