オランダに住まずに、記事を書くと、こんな感じになるのでしょうね。
ワイドショー的に、オランダ大変だねで終わる人は、それで良いですが、欧州に自分の部下がいるような立場の方は、批判的に情報を分析する訓練をしてほしいと思います。たとえば、
言葉がわからないので多くの人が働けません。出身国の公用語すら分からず、方言や部族語しかわからない人がいます。オランダ語や欧州言語は彼らの母語とかけ離れているので、語学学習も簡単ではありません。
難民ではないですが、移民の出身国のデータは、オランダ統計局のサイトですぐに調べられます。
記事を読むと、オランダにもアフリカからの難民が殺到して、それを拒否したようなイメージを持つのではないでしょうか。
注目してほしいのは、2022年に40万人もの移民を受け入れたことです。いわずもがなウクライナ戦争が起こったためですね。明らかに対応できない人数ですが、自由と平和を支持することを身をもって示すため、オランダ政府は受け入れてきました。そこは評価されるべきだと思います。
次に、出身国は、欧州ですね。著者が書くような難民もいるかもしれませんが、大多数は欧州人です。30年前の大陸欧州は、英語がほとんど通じませんでした。しかし、最近では、東欧に行っても、ホテルの予約を英語でできないことはほとんどありません。
オランダ人が、英語の習得に国を挙げて取り組み、外国語として話す英語力で世界No.1 になっていることは、知っていただきたいと思います。
永住権を取得するためには、オランダ語を話し、オランダ社会を理解しなければいけません。その教育プログラムも感心する内容でした。オランダの図書館に行けば、ボランティアでオランダ語を教えるオランダ人をよく見かけます。こういう市民レベルで移民を受け入れる努力をしているのは素晴らしいなと常々思っておりました。
また、オランダ社会の試験では、異国からオランダに移住した時に、戸惑うことを具体的に挙げ、オランダ人はどのように振る舞うかを細かく問題にしています。
アリとジャンはカフェに座っていました。彼らは男が店の窓から石を投げているのを見ました。
Q: アリとジャンにとって最善のことは何ですか?
その男を警察に連れて行く
警察に電話する ✔
急いで歩いて家に帰る
小学校の道徳の問題のようでもありますが、権威主義的な国から来た人に、市民の義務を教え、警察がオランダでは腐敗しておらず、信頼を得ていることを教えているわけです。一方、麻薬も販売されている国でもありますので、安易に正義感を出して直接解決するのも良い考えとは言えないわけです。
11月の総選挙で極右政党が第一党になったこと、その背景に移民問題があることは事実です。しかし、グローバル企業の経営に当たっている方なら、もう一歩踏み込んで、これまでの移民政策も理解していただき、自社の経営に役立ててもらいたいと思っています。
では。