The Quiet Revolution by Alan S. Blinder
日経 2008/6
FRB元副議長による中央銀行論。大学教授の語る金融論なのですが、ビジネスマンにも普通に読めます。日本では、日銀総裁人事でいろいろ揉めましたが、現代の中央銀行が独立性を強める過程で透明性を確保してきた様子がよくわかります。世界の中央銀行事情は、わかっているようでわかっていないものですね。たとえば、将来の金利見通しを中央銀行が公表するというのは、リスクがあるように思うのですが、ニュージーランド、スウェーデン、ノルウェーが公表しているそうです。
新聞には、中央銀行総裁のコメントが踊りますが、世界の流れでは、委員会による合議制が広まっているそうです。
また、市場と中央銀行のかんけいについても、一筋縄ではいかない関係が簡潔にまとめられています。金利の期間構造に関する期待形成仮説についての議論は、興味深いものでした。
世界経済が、スタグフレーションのリスクを抱えており、中央銀行の判断が最も難しい時期を迎えています。中央銀行の行動パターンをおさらいしておくのは、有益だと思います。
では。
【参考】
日経 2008/8/17(日) p.21 池尾先生の書評が掲載されました。完璧なサマリーになってます。