未曾有の経済危機 克服の処方箋
ダイヤモンド社 (2009/4)
与謝野大臣が、景気底入れ宣言をしましたが、ホント?ということで、読んでみました。週刊ダイヤモンドの連載と趣旨は変わりませんが、昨年暮れから現在に至る世界経済の動きを俯瞰することができます。
基本的な認識は、『世界経済危機 日本の罪と罰』(2008/12)の時と変わりません。日・米・中の「円安バブル」「住宅バブル」「改革開放バブル」が同時崩壊した。日本の輸出モデルが壊滅したのであって、時間が経てば、もとに戻るというものではない。日本が産業構造を変えらなかったことへの批判は、『円安バブル崩壊』(2008/5)と変わりません。
GDP成長率二桁マイナスは、さすがに専門家にも驚きであったのが各種の指標を通じて語られます。各種の数値が2003年レベルまで戻るというのは、その通りだろうと思います。
細かなデータは本を読んでいただくとして、印象に残ったのは、日米文化論。
「どちらも極端だから、折衷がよい」という考えが、日本では一般に受け入れられやすい。しかし、折衷の仕方によっては、両方の悪い点だけを採り入れることになる。p.194
本書では、具体的な対策も提案しています。国レベルでは、産業構造転換による内需拡大と資産運用。p.230の国際収支の発展段階説からみた日本の状況は一読の価値があります。
個人は、国際分散投資よりも、自己投資(教育)や起業とのことですが、Stanford MBA的なノリですね。日本は、それができないから、苦労しているのですが。
では。
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