【本】農協の大罪

農協の大罪 (宝島社新書)
山下一仁 宝島社 2009/1

農水OBによる農政論。汚染米事件が起こったのはなぜか。戦後の農業政策をたどることで、問題の構造が見えてきます。
いい例だと思ったのは、農作物の生産・消費も経済の一活動であるのに、経済学を当てはめて考えることが無かったということです。農業は、農業として考えてきた?のが戦後の農政だったのですね。

農政トライアングルについては、こちら。

農協はその組織維持のためには、農家戸数を維持する必要がある。多数は兼業農家なので、専業農家の利益よりも、兼業農家の利益および兼業農家の戸数の維持が組織活動の大目的となる。与党政治家にとっても、自らの政経を維持するためには、農民票を獲得して、選挙で勝つことが大目的である。農水省にとっても、農業存続に必要な予算を獲得するためには、政治力を発揮することが必要となり、与党政治家、農協、根源的には農家に依存することになる。p.128

 面白いのは、農家は減ると、逆に、このトライアングルは強固になるということです。
 他にも、農政の基本的な数値が紹介されています。
 06年の農業総算出額は8.5兆円。パナソニックの売上高は9.1兆円。パナソニックの従業員は30万人弱。農家戸数は285万戸、農協職員だけで31万人、農協の組合員は約500万人。准組合員は約440万人。

GDPに占める農業の割合は1%に過ぎないのに、日本の成人人口の1割が農協の職員、組合員、准組合員ということになる。p.25

 06年の農業のGDPは4.7兆円。OECDが計測した日本の農業保護額は、農業のGDPとほぼ同額。

 61年に609万ヘクタールあった農地の4割を越える260万ヘクタールもの農地が減反等による耕作放棄や、宅地などへの転用によって消滅した。これは現在の全水田面積を上回る数字だ。p.168

 農地解放によって小作人に与えられたのが193万ヘクタール。これより多い農地が失われました。

 農地を農地として利用するからこそ、農地改革は実施されたのだ。宅地へ転用させて、小作人に莫大な利益を獲得させるために農地改革があたわけではないはずだ。(中略)この”盗水の水を飲むようなもの”と形容された農地の転用で農家は莫大な利益を得、これが農協に預金されて農協は発展した。p.169

 米作主業農家の年間所得は664万円。兼業農家の所得は792万円。p.185
 
と、暗い話ばかりではなく、p.174には、日本が水の資源大国という話も。

次の選挙では、農政もポイントになりますので、引き続き研究します。

では。

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【参考】
・ダイヤモンド・オンラインの「農業開国論

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