銀行の時価総額

オランダの経済紙Het Financieele Dagblad (2020/5/21)が、興味深い記事を掲載していました。

Europese banken zitten in een vicieuze cirkel“(悪循環に陥っている欧州の銀行)

コロナの影響で売上が最も落ちた業種という図があるのですが、最悪だったのが銀行でした。旅行業より影響を受けたのは意外でした。

銀行セクターの株価純資産倍率(PBR、時価総額÷純資産)にも触れています。

Stoxx-bank indexに含まれる45行のPBRは、0.42まで低下。株式市場は、帳簿上の純資産の半分以下の価値しか、銀行に認めていない。リーマンショックの2008 年末では 0.55であり、現在はそれを下回っている。。
PBR1以上は、健全で収益性の高い銀行の指標とされている。オランダのINGとABNアムロは、2018年1月初旬にはそれぞれ1.4、1.2のだったが、現在は0.38、0.30にまで低下している。

欧州の銀行の時価総額の減り方を他国と比較するために、Fortune Global 500 から、各国で最も経常収益(2019年度)の大きい銀行を抽出し、コロナ前後を点検してみました。

株価は、銀行の経常収益減少を先取りしてますね。下落率が最も大きかったのは、インドステイト銀行ですが、コロナの影響が大きかった地域を拠点とする、サンタンデール銀行(スペイン)-52%、ING(オランダ)の-52%という下落率になっています。

ICBC(中国)や、ドイツ銀行は、下落率は比較的小さいですね。JPモルガン・チェース(アメリカ)-37%や、HSBC(イギリス)-35%が、比較的小幅な下落に留まっているのは、自国経済だけに収益が左右されないからなのでしょうか。

欧州銀のPBRが1.0を回復するのに、何年かかるでしょうか。