米騒動の教訓

米の価格が政治問題になったようですね。

備蓄米「安く卸して価格破壊を」 小泉進次郎農水相が「news every.」生出演(2025年5月22日掲載)|日テレNEWS NNN
小泉進次郎・農林水産大臣は22日、「news every.」に生出演しました。備蓄米について、「安く卸して価格破壊を一定程度起こさないと世の中の空気は変わらない」などと、値下げへの決意を語りました。

シンガポールとオランダに住んだ経験からコメントします。シンガポールの主食はおコメ。オランダは小麦だと思います。

米 (一人当たり消費量 kg/年)小麦 (一人当たり消費量 kg/年)
日本53.632.7
シンガポール85.335.8
オランダ5.586.8

(※Geminiに調べてもらいました)

1 シンガポール

シンガポールで印象的なのは自由貿易とホーカーです。ご存知のとおり、ほとんど農業がありません。しかし、世界中から最安値で食料を調達するので、スーパーの食料品は豊かな品揃えです。戦争をしたことがないので、容易に結論づけてはいけませんが、農業がなくても外交で安定した食料確保は半世紀できたという事実はあります。
マレーシアに水を止めると脅されるのは、滋賀県民が琵琶湖の水を止めるというのと同じような構図ですが、それでも、外交で国民を食べさせてきました。農業に補助金を出す以外にも、食料安保の方策はあるのだと勉強になります。
もう一つは、ホーカーです。ほとんどの団地には、安い持ち帰りのできるフードコートがあります。日本の米卸の決算書を読むと、粗利益率が5%だったりします。そんなに利幅が薄い商売では、いまの構造で安くするのも限界があります。
普通に考えるのは、付加価値を上げたうえで、最終的な価格を下げる。アパートの1階にたきたてのご飯が1パック100円で買えると思ってください。炊飯器で炊く手間が省けますね。私がシンガポールで「手抜き」できていたのはホーカーのおかげでした。日本でもモールのフードコートは大人気ですが、ご飯の持ち帰りができるチェーン店が広がったら、最終的な価格を下げれるかもしれません。

2 オランダ

オランダは、卸が少なくなっています。小売の寡占が進み、大手スーパーが生産者から直接買うようになってしまっています。価格を上げられて文句が出そうなのですが、クロワッサンが50円で買えたりします。ラーメンを店で食べると3000円する国では破格に安いのです。
一方、オランダの農産物輸出は、世界第2位です。生産も流通も究極まで合理化したのがオランダとも言えるでしょう。
当たり前ですが、小麦を5kg買って、家でパスタにする人はほとんどいません。日本では各家庭に炊飯器があるのは当たり前です。しかし、オランダに来ると、それはものすごい設備投資を家庭が負担しているのに気づきます。
オランダでは、ベーカリーがパンを売るだけでなく、生地を販売して、家のオーブンで焼くもの。もうパンの形はしていてあとは焼くだけ、冷凍のパンもあります。小売側が工夫して、いかに安く美味しいものを届けるかいろいろ工夫しているがわかります。
私も日本人ですので、魚沼産コシヒカリを、タイガーの炊飯器で炊くご飯が美味しいのは重々承知しています。しかし、オランダとベンチマークすると、まだ、やれることが日本にあるなと思うのでした。

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