【本】企業不祥事の真相

企業不祥事の真相 秋山進 日経BP 2026

著者の長年にわたる経験からコンプライアンスかかわる豊富な実例が紹介されています。複数事例の共通項を指摘し、企業構造・文化に至る考察がされています。

私には、直系家族の罠の例に見えました。直系家族は、先輩の言うことを聞きます。本書は日本企業の事例集ですが、韓国、台湾、ドイツ、スイスにも似たようなケースがあるのではないかと思いました。

たとえば、直系家族は父親から長男が技術も承継するので製造業が盛んです。本書ではダイハツの事例がありましたが、フォルクスワーゲンの不祥事に、親近感が沸くのではないでしょうか。

一方、資本主義というのは、絶対核家族の仕事の仕方です。親と同居せず、相続に格差をつける地域では、契約や金融業が発達しました。英米で発達したコンプライアンスは、絶対核家族にどうやって悪いことをさせないかというルールです。親はアイルランドにいて、息子は米国、妻は台湾人といった人々には、性悪説に基づいた厳罰で臨むしかありません。

直系家族の企業が、それが資本主義のルールだと思ってコンプライアンスをそのまま輸入してしまうと、一部は過剰(従業員は基本的に性善説でよい)であり、一部は不足します。

たとえば、会計監査は絶対核家族を縛る仕組みとして発達しました。しかし、東芝では従業員が「家」を守るために、全員が一糸乱れず、完璧な粉飾を複数年にわたってやり続けたのです。
4つの家族類型に基づいた企業不祥事の特徴を整理して、それぞれに最適なガバナンスが研究されると良いと思いました。

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