【本】戦後敗戦

船橋洋一氏の集大成。圧倒的な取材力で、『通貨烈々』(1988)を読んだ時のことを思い出しました。

戦後復興の起点はミズーリ号での降伏文書調印式。韓国躍進の起点がIMF危機であったように、日本復活のためには、失われた40年を「敗戦」と受け止める必要があるとの主旨でした。

『失敗の本質』と通奏するところもあり、あらためて直系家族の罠を実感します。世界に1割しかいない直系家族は、親と同居し、長男が家業を継ぐので、先輩の言うことを否定できません。環境が続いている間は、卓越した現場力で日常を継続します。しかし、石油がない、超円高、半導体が造れない、戦争が始まった、インターネットができた、原発が爆発したとか環境が変わると、タコツボ(それぞれが「家族」)の間を調整できません。

今回のイラン戦争の対応も、行き過ぎた円安の是正も、石油危機やプラザ合意から教訓を得られるのもわかります。なんて、日本人は忘れっぽいのでしょう。ユダヤ人が数千年前の聖書に忠実に生きているのとは違います。

欧州で惨事といえば戦争ですが、日本は自然災害ではないでしょうか。オランダは、地震も台風も来ないですし、噴火するどころか山がありません。帰国して、10数年ぶりに非常持出し袋を作りましたが、こんなに普段から備えなければならないのかと痛感しました。

熊本に地震が再発し、毎月台風が来て、ゲリラ豪雨で車が数千台お釈迦になると、前の災害を忘れないとやってられません。普段から空気を読んで、ムラの掟に従い、被災したら助けてもらうように身を処すのは当然でしょう。

著者は、起業家国家を提案されてますが、私は同意しかねます。Cybercabの映像を見たので。あんなことできるのは、絶対核家族ぐらいです。

本書は日本が負けた7点を取り上げていますが、日本が素晴らしかったのは、世界最速の高齢化を動乱を起こさずにやりすごしたことです。ほとんどの人が気づいていないようですが、今後、韓国、香港、中国が同じ状況になるにつれ、日本の再評価につながると思っています。

直系家族の罠の克服方法は、別に書きました。徳川方式、SME方式、出島方式など、直系家族文化が変わらない前提で組み立てないと、画餅になると思います。

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