【本】富山は日本のスウェーデン

富山県は日本のスウェーデン

井手英策 集英社新書 2018/8 財政学者が見た富山県の分析。保守王国である県で、スウェーデンのような社会民主主義的な政策がなぜ受け入れられてきたのか、様々なデータを用いて分析しています。

富山県とスウェーデン国は、apple  to apple でないのですが、この2地域を比較することで、私が主張するところの直系家族の罠を説明する好例であり、日本にとっても参考になると思いました。以下、感想です。

そもそも、両地域とも直系家族的な文化です。親が子供より偉く、長男に家督を継がせ、親子が同居する。直系家族の文化は、土地が限られている場合の農業や、工業に合いました。狭い田んぼを5人の子供に平等に分割していたら、すぐに効率が悪くなってしまいます。ものづくりも、親から長男に長時間技術を教えることで、質の高いモノを作ることができました。

問題は今進行している産業構造の変化に、直系家族的な文化がフィットするのかです。世界を席巻するGoogle、Amazon、Facebook、Appleは、アメリカ企業(絶対核家族)で、こうした企業が、富山から出てくるか心もとないところがあります。

ところが、スウェーデンは、デジタル競争力で世界3位。同国を見ていくと、半世紀かけて、直系家族的な文化を修正してきたのがわかります。一言で言えば、女性の社会進出を国を挙げて支援し、男性も解放しました。

家父長的な価値観を時間をかけて修正した結果、外国人の受け入れや、ITなどの新しいものを受け入れる教育を拡充。 音楽ストリーミングのSpotifyを生みました。

自分の文化を理解するのは、なかなか難しいですが、こういう研究がいろいろ進むといいですね。

では。