伊藤 公一朗 光文社新書 2017/4
先日、紹介した「原因と結果」の経済学の続きで読みました。因果関係分析に焦点を当てたデータ分析の入門。週刊ダイヤモンド「2017年ベスト経済書」2位。面白くってタメになりました。
近年の特徴は、
データ分析の力が特定の専門職に就いている方だけではなく、これまで異常に滝にわたる職種において要求されるようになってきている p.3
とのことで、ビックデータの時代でも、
データの扱い、分析、解釈においては、本書で開設していくように人間の判断が重要な役割を担います。p.6
とのこと。これは、データ分析を寿司職人に例えていました。
1. 素晴らしいネタを仕入れること
2. そのネタの旨味を活かせる包丁さばきができること
3. 顧客が求めている味を提供できること
とのこと。受け取るのは人間なわけで、まだ、ヒューマンタッチが必要なようです。
RCT、RDデザイン、集積分析、パネルデータ分析をわかりやすく解説。記憶に残る分析例は、次の通り。
北九州市の電力価格の実験。モラルに訴える方法と、価格を変える方法を比較し、価格メカニズムが有効なのがわかります。
P.83 では、オバマ大統領の選挙活動におけるABテストを紹介。
アメリカのスーパーマーケットでの実験では、税込価格を表示すると、税抜き価格を表示した場合に比較して平均で8%売上げが下がっていました。p.216 同じ支出なのに消費者心理に与える影響が数値で現れていて、興味深いです。
p.221 ではウーバーが、データ分析者にデータを開放して、成果をあげていることを紹介していました。
p.231 では、シカゴでの犯罪抑制には、ペナルティよりも、教育が有効だった例を紹介しています。
ということで、応用範囲も広いですね。
では。