NHKスペシャル取材班 文藝春秋 2009/1
「インドの衝撃」でカバーできなかった、トピックを追った本。よりビジネス的観点から、取材しています。番組の方は2007年1月に初回放送されたNHKスペシャルのシリーズ第2弾です。
全体を通して伝わってくるのは、貧しさからの脱出。このパワーが、猛烈セールスマンを産み、日本企業の買収、「ヤクルトレディ」につながっています。
第1部は、BOPの話。今では有名になったユニリーバの石鹸販売の話。p.25 宣伝として、小学校で授業をする様子が紹介されています。p.31
日本企業の事例として、日清を取材しています。p.96。州が国のように振る舞い、物流が分断されていることがよくわかりました。
地元企業の例として、ITCを取り上げています。農村+ITというのは、インドらしいとも思いましたし、日本でも参考になるとも思いました。
第2部は、製薬業界。ルピンの共和薬品買収を追っています。
日本の経営陣とのカルチャー・ギャップも興味深いですが、インドの営業マンが、猛烈に働いて、家族が豊かになっていく描写が印象的でした。
日本人からみたインド人ビジネスの特徴は、p.170。
トップとのホットラインが必要
インドの組織は、大統領+霞が関。長く社会主義が続いたので、官僚主義は根強い。
転職社会
数ヶ月で離職はザラ
厳しいコスト管理
数値をめぐる議論を厭わない
縁故主義
仕事がはかどるメリットも。
政治リスクは低い
反日運動なし
第3部は、印僑。シリコンバレーのメンター、カンワル・レキ氏の語る成功の鉄則。
- すぐに頭を切り替えろ
- 自分の金はつぎ込むな
- 無料サンプル禁止
- 業界トップの契約を勝ち取れ
- よきストーリー・テラーであれ
- リーダーの資質を備えよ
- よいチームを作れ
- 優れた反射神経を持て
こうした教訓は、他国と変わらなくなってきていますね。インドから学ぶ時代になってきました。