日本を救うインド人 (講談社+α新書)島田 卓 2008/2
BOT OBによるインド・ビジネス論。本書を呼んで、私が卒業旅行した1991年が、インドの転換点だと知りました。
1月 湾岸戦争勃発。中近東はインド人の出稼ぎ先で仕送りが途絶える。
3月 藤井卒業旅行でニューデリーへ。下痢で7kg痩せる
5月 総選挙。ラジブ・ガンジー氏暗殺。
6月 インドの保有外貨が底をつき、債務不履行寸前。
ナラシマ・ラオ政権発足
7月 新経済政策発表。
ということで、外資の導入が続き、25年後に、ITで世界をリードするようになる。
交渉スタイルの違いから必要となるのは、「裏とり」 p.65 経営者が賞与を払ったと言ったら、労組幹部にヒアリング。その幹部も大げさに言っている可能性があるので、従業員やライバル企業にも聞くという作業が必要。
超格差社会は、2007年時点でも変わっていないようです。
インドの税法では、納税義務を追うのは、年収11万ルピー、約33万円以上の人々である。現在の納税者数は、全人口に対し約3%。
インドの衝撃で描かれていた、貧困層の教育熱も描かれています p.100 赤貧の家族を背負って勉強するインドの子どもと、日本の子供は競争しているわけですね。
インドと日本人のコミュニケーションの違いを端的に示しているのがこちらのフレーズ。
英語のノーはひとつですが、日本語には16個のノーという言い方があります。 p.188
インド事業の本質を考えさせられるのが、インドに進出した工場長の言葉。
インドでのビジネスについての私のイメージは、1+1の足し算なんです。1+1+1+…. という足し算を、永遠にやっていくかんじなんだな
12億人と思うと、掛け算をしたくなるが、地道な取り組みが必要な市場という主旨。中間層の厚さは、p.92
2輪車、・冷蔵庫・洗濯機の年収1000ドル以上クラスが、現在約750万世帯。
次の年収500ドルを超えるクラスが780万世帯。
年収350ドルクラスが330万世帯
350ドル未満は、170万世帯。
3種の神器が30年売れる市場の魅力は大きい。逆に意外なのがリスク管理力。
リスクを管理し、その根源がどこにあるかを、常に確認しているからです。インドには、ムガールに占領され、イギリスにも占領されと、長い被制圧国家としての歴史があります。したがって自分を防御しようという欲求がすごい。p.156
そして、評価されるのが中間管理職の能力。
ベトナムの一般ワーカーは、言われたことをきちっと守って黙々とやる、優れた従業員がほとんどだ。だが残念なことに、それをとりまとめる人がいない。中間層がマネージメントしてくれないから、トップn日本人が、全部自分でやらないといけない。p.139
やはり、好むと好まざるとにかかわらず、インド市場の研究はしなければなりません。
では。