【本】国家の罪と罰


佐藤 優 小学館 2012/2

 東日本大震災では、各国からの支援に感動はしましたが、冷徹な国益をめぐる戦いは続いていることが本書でわかりました。特に、プーチン氏が大統領に復活したロシアの情勢分析は、参考になります。
 官僚批判については、時間の流れを感じました。著者が逮捕された時と、村木厚子元厚生労働省局長が無罪になった後では、特捜部に対する評価も180度変わりました。著者は、『国家の罠』以来、その情勢を淡々と分析しているのがわかります。
 インテリジェンスについては、一般の人も読むことができる新聞やウェブサイトにシグナルが出ているというのは、外交以外の調査にも役立ちそうですね。
 人口構成の面から右肩上がりが期待できない現在、本書で指摘された一つ一つのイシューについて、的確に対応していくのが、国力の低下を防ぐ有効な手段なのだと思いました。