【本】キリスト教ナショナリズム

神学者と米国専門家の対談。私は宗教に関心は低いのですが、福音派がイスラエルを支援してイラン戦争が起こり、日本の物価が上がるとなれば、話は別です。

最初に思い出したのが米国の建国経緯。

アメリカという国の歴史に誇れる点があるとすれば、それは建国当初に「宗教を国家の土台としない」と明確に宣言したことだ、と私は思っています。p.65

トクヴィルがDe la démocratie en Amérique で活写したのは、欧州ではありえない政教分離が貫徹していたからですね。欧州の教会は政府から補助を受けており、牧師は公務員。米国は、政府から独立していたので、教会のMBAがマーケティングするのだとか。

「キリスト教ナショナリズム」というのは、そうした建国の伝統に抗う動きです。

21世紀は、もはや個々の宗教指導者が道徳的な権威を主張して信頼を集められる時代ではありません。むしろ、道徳的には多少疑問の余地があっても、有無を言わさず政治力で自分たちの主張を実現してくれる戦闘的な指導者を求めているのです。(中略)

保守派にとって、いまや救済されるべきは個人ではなく国家そのものなのです。p.39

教派がわかるとトランプ政権の理解が深まります。

トランプが1期目の政権で弾劾された際、20人ほどが彼の周囲に集まり、手を置いて祈る写真が話題になりました。(中略)彼らの中にはカトリック信徒もいますが、プロテスタントの場合はほとんどがペンテコステ派やカリスマ派、いわゆる独立系であり、長老派や聖公会、メソジストといった主流派の教派に属する人は見られません。

というのも、主流派の教派にはそれぞれ信仰箇条があり、決まった制度があるからです。神学校で学び、試験を受けて合格し、それでようやく按手を受けて牧師になる、という制度が整っている。しかし、ペンテコステ派やカリスマ派の教会はそうした制度がなく、「今日から私は牧師です」と宣言して周囲が認めれば、それで牧師になれてしまうのです。p.83

米国政治を理解するには、プロテスタントの教派をこれぐらいの解像度でみないといけないとわかりました。

ちょっと希望が持てるのは、若い世代は、世俗化が進み、イスラエルのガザ侵攻を支持しない人が多いということ。中間選挙を見守りたいと思います。

タイトルとURLをコピーしました