出張先のアムステルダムで、西川先生の訃報に接しました。ご冥福をお祈りいたします。
先生に教えていただいたのは、もう29年前になってしまいますが、その教えは、私の人生に大きな糧となりました。
第1は、世界に目を向けることでした。当時は、インターネットもなく、世界の情報を知ることは、今のように簡単ではありませんでした。先生の著作を読むうちに、世界の広さを知り、その後、50を超える国を訪れるようになりました。
第2は、弱い人に寄り添う姿勢です。最初は、開発経済のゼミで、発展途上国にことを学ぶゼミなのに、なぜ沖縄?とか思っていました。弱い人は、どこにでも居て、そういう人に役立つものが経済学なのだと教えていただきました。
私個人としても、勤め先の銀行が破綻し、大学院に留学するのに苦労している時、推薦状を快く引き受けていただきました。
第3は、現場主義です。当時から机の上の勉強だけでは不十分と、学生を発展途上国に連れて行ってくれました。私の代は、天安門事件の後の中国でした。先生は、北朝鮮にも行かれていたので、なんとも無かったかと思いますが、北京大学でインゼミをすること自体に不安がありました。メールもない時代、貧乏学生が、当時高価だった国際電話で北京側と連絡をとり、10日間の往訪を実現させたのは、貴重な経験でした。1990年の上海、北京、大連、瀋陽を観たからこそ、今の中国の歪みも理解できます。
いま、東南アジアに拠点を移し、仕事ができているのも、先生のおかげです。
最近では、教育の仕事も増やすようにしました。微力ながら、若い人にも、先生の志が伝わればよいと思っております。
本当にありがとうございました。
安らかにお休みください。
【関連記事】
・西川潤先生お祝いの会 2007/2/24
・西川潤先生最終講義 2007/1/17