AI vs. 教科書が読めない子どもたち
新井 紀子 東洋経済新報社 2018/2
東大ロボプロジェクト開発者による人工知能論。人工知能の限界について、東大受験という補助線を引くことで、わかりやすく説明しています。人工知能が、ロジカルな計算はできるものの、コンテキストを読むことはできないことを説明。安易なシンギュラリティ論を諭します。一方、技術が人の仕事を奪うことについては、深刻に捉えています。新たにできる仕事も、人工知能が対応してしまうのではないかと。人間にしかできない能力のひとつが、読解力なのですが、それが低下していことに警鐘を鳴らしています。
日本のAIがアメリカと差がついた理由のひとつは、第5世代コンピュータ。p.89
「第5世代コンピュータ」とは、1982年に当時の通商産業省が立ち上げた国家プロジェクトです。(中略)500億円以上の予算が投下されました。残念ながら、それは手酷い失敗に終わりました。(中略)私はまっさきに「第五」の資料を探しました。(中略)しかし、ほとんど資料は見つかりませんでした。
『失敗の本質』を思い出すエピソードでした。
最後の糸井重里事務所の話などは、唐突感が否めませんが、東大ロボを開発してわかった教訓は、子供を持つ親には参考になります。
では。
【追記】
ほぼにちの対談
http://www.1101.com/torobo_talk_arai/