池上彰 増田ユリヤ ポプラ新書 2016/8
アメリカ大統領選挙レポート。7月の時点で、トランプ、バーニーー旋風につて、ここまでのことはわかっていたという話です。外務省が、首相をクリントン氏にしか会わせなかったのはマズかったですね。
最初は、アメリカの選挙制度解説。アメリカの人口が319百万人(2014)なのに、トランプ氏の得票が、61百万人と人口の19%にしか過ぎません。理由の一つは、投票をするには、自分で登録しなければらないという制度にあります。
自分で動かないと何も得られない選挙システムは、能動的にならないと何も得られないアメリカ社会のあり方自体を示している p.36
支持政党、連絡先が公表されているというのは、草の根の民主主義とは何かを考えさせられるエピソードです。
次が、選挙の背景の解説。ティーパーティーの躍進。共和党に強硬な若手議員が増え、オバマ政権の妥協しなくなったため、ワシントンへの不信感がましてしまいした。ブレない候補として、トランプ氏、アンダース氏に注目が集まりました。ブレないことを評価するのは、ピューリタンなのねと思います。ロシアだったら、そういう感覚にはならないだろうと。
民族の人口構成の変化は、民主党に有利なはずですが、結果、大統領、両院も共和党が制しました。一時的な揺り戻しなのかは、次の2020年の結果を見る必要があろうかと。
トランプ氏の発言には、「ヘッジ」がしてあることも、言及しています。メディアの発言切り取りが指摘されています。日本人も、発言を読み取る能力が求められますね。
メディアが大儲けしたことにも触れています。特にTVは、そういうビジネス構造ですので、注意。
サンダース氏のボランティアのインタビューを読むと、若者に冷戦の経験がないことがわかります。社会民主主義的な政策にアレルギーがありません。トッド氏の指摘するように米英は、ジェネレーションが物を言い、他の国に先駆けて、変化が起こるのですね。
では。