【本】コンビニ人間

コンビニ人間

村田 沙耶香 文藝春秋 2016/7

芥川賞受賞作。明治を象徴する職場が製糸工場であるならば、現代はコンビニであることがわかりました。結婚の就職という日本人が所属する「村」を選ぶ儀式が、崩れているのがわかります。そのあたりは、逃げ恥にも通奏するものがありますね。

結婚は?子供は?男なのに正社員じゃないの?30後半なのに就職したことないの?友達いないの? という「普通」テスト質問が続きます。
文章は平易で、むしろ、芥川賞らしくない?ともいえますが、ひとつひとつの会話にムダがなく、印象深い作品でした。
特に、制服で同じ外見となり、マニュアルで同じ作業を繰り返すことに安心感を覚える。そんな心のゆらぎに人間の心理が感じられて興味深いです。
セブンでサイン会を開く作家と、ユニクロを解雇されるジャーナリスト。今年の日本を象徴する話でしたね。