塩野 七生 新潮文庫 2002/7
ローマが海軍を設立し、カルタゴとポエニ戦争 (Bella Punica、BC 264- BC 241)に挑む前半。ローマが海戦が苦手としていたのも微笑ましいが、カルタゴ(アフリカ側)が、豊かな国だったことも印象深い。
経済的な側面では、道路整備を評価したのがp.109。
ローマ人は、今の言葉で言う「インフラ整備」の重要さに注目した、最初の民族ではなかったかと思う。
政治面では、中産階級の台頭p.126。総力戦になるにつれ、より多くの市民の政治参加は不可避でした。
軍事面では、システム化p.127
何事につけてもシステム化することの好きなローマ人の性向は、ローマの軍団編成に最もよくあらわれている。
行政区画と税負担を整備して、軍団の編成、報奨まで制度化しています。
文化面では、ローマ人が肉食でなかったのが興味深い(p.146)。
ガリア人、とくに後年接触するゲルマン人に対してはとくに、ローマの兵士は体格で圧倒され、しばしば劣等感に悩んでいたのだから、肉を食べて体位向上をはかったらよかろうものなのに、そのような努力はまったくしていない。(中略)牛や羊の乳を入れて煮たおかゆかパンか、それにチーズの一片に玉ねぎに一杯の葡萄酒が、行軍中の食事だった。これで世界を征服したのだから呆れる。
それにしても、戦争が続き、政治と軍事が一体になってますね。今日的な意味で興味深いのが、バルセロナ。カルタゴは、スペインも支配しますが、エブロ川が第二次ポエニ戦役直前の国境で、カルタゴの支配もここまで。バルセロナは、当時の2強国の支配を受けていません。