人工知能は人間を超えるか 松尾 豊 角川EPUB選書 2015/3
人工知能の入門書。人工知能について、あまりに知らない私にとって、にわかりやすい本でした。過去2度のブームの浮き沈み。3度目のブームの突破口についても理解でき(た気がし)ました。
うまくいけば、人工知能は急速に進展する。なぜなら「ディープラーニング」、あるいは「特徴表現学習」という領域が開拓されたからだ。
p.7
人工知能の脅威論にはくみしていません。
人工知能にできることは現状ではまだ限られる。基本的には、決められた処理を決められたように行うことしかできず、「学習」と呼ばれる技術も、決められた範囲内で適切な値を見つけ出すだけだ。
p.8
人工知能が活躍する事例として、p.24では訴訟時の証拠閲覧支援のフロンテオを紹介していました。
知らなかった言葉も、いくつか理解できました。例えば、オントロジー。
オントロジーとは、哲学用語で「存在論」のことであり、人工知能の用語としては、「概念化の明示的な仕様」と定義される。
p.93
第3章では、人工知能の限界について議論しています。
「知識」を入れれば人工知能は賢くなるが、どこまで「知識」を書いても書きれないという問題にぶつかった。また、「フレーム問題」では、タスクによってロボットが使うべき知識をどう定めておけばよいのかが決められなかった。「シンボルグランディング問題」では、コンピュータにとって、シマウマが「シマシマのあるウマ」だと理解できないことが問題であった。
p.138
第4章で議論したのは、特徴量。
機械学習では、何を特徴量とするかは人間が決めないといけなかったということである。p.138
こうした限界をディープラーニングが超えていきました。第5章は、トロント大学のSuperVisonの話から始まります。
ディープラーニングとは多階層のニューラルネットワークである。p.148
ディープラーニングが従来の機械学習とは大きく異なる点が2点ある。1つは、1層ずつ階層ごとに学習していく点、もう1つは、自己符号化器(オートエンコーダー)という「情報圧縮器」を用いることだ。p.149
最終章では社会に対する影響を議論しています。やはり、人工知能について考えることは、人間について考えることですね。自分がどのような人生を送るかに大きな影響をもつことがわかりましたし、私の子供世代ならなおさらだと思いました。
では。