小泉官邸秘録
飯島 勲 2006/12 日本経済新聞
小泉前首相の筆頭秘書官の回顧録。竹中さんの本は、読んでませんが、小泉時代を振り返るための必読の書だと思います。さすがに、30年以上、小泉さんに仕えた方なので、小泉さんへの批判が少ない点は、割り引かなければなりませんが、うまく役割分担ができていた内閣だったと思いました。
P.334に、「チーム」小泉の写真が掲載されています。事務秘書官5名、内閣参事官11名。官僚は、最近何かと批判されていますが、ミッションを明確に決めて、叱咤激励すれば、実にいい仕事をするのが、わかりました。小泉内閣は、官僚というのは、このように働いてもらうのだというショーケースでした。マスコミが取り上げるのは、外務省でのドタバタなどですが、その裏では、粛々と仕事が進んでいたんですね。
内閣府での仕事が、官僚にとって面白くなってきたんじゃないでしょうか。「官僚たちの夏」が描かれた頃、「若手」がもっとも力を発揮したのは、各省庁の「課」であり、官邸周辺で、若手が活躍できそうな感じはしませんでした。
もうひとつは、さすがに5年もやると、いろんなことができるなぁと思いました。道路公団、医療制度改革、外務省改革、9.11対応、工作船への対応、拉致問題、BSE事件、郵政民営化などなど。1内閣=1仕事などといいますが、よくも、これだけの案件を処理してきたと思います。チームを5年固定すると、安定感は出ますね。
以前、官庁の方と飲んだときに、首相のことを「小泉親分が…」と言ったのが印象的でした。以前でしたら、自分の省庁以外の人を、そのように呼ばなかったと思います。
今年の参院選で、日本の政治を考えるのに、よい本だと思います。
では。
【参考】
http://facta.co.jp/article/200701043.html