イスラム国「世界同時テロ」
黒井 文太郎 ベスト新書 500 2016/3
軍事アナリストによる中東分析。今の中東情勢は、プロでも複雑すぎてわからなくなってきていますが、ビジネスパーソン向けには、十分な最新情報が得られます。
イスラム国(IS)とは、
イスラムを自らの独りよがりな解釈で規定し、それによって極端なサラフィ・ジハード主義を、リアル社会で実践しようとしている武装集団である。p121
著者はISとの和解交渉は理論上不可能としています。p.195
ISはサラフィ・ジハード主義であり、全世界をイスラム化することを掲げている。そして、逆らう者は殺せとの考え方である。話し合いの余地はない。
しかし、シリア問題の根本は、アサド政権と分析。p.164
アサド政権こそが凶悪なイスラム過激派集団ISの生みの親のようなものであり、今後もアサド政権が続く限りシリアの混乱は継続する。
アサド政権が問題なのは、IS壊滅の障害になっているからだけではない。今世紀最大の人道危機であるシリア内戦の大量殺人の主犯そのものだからである。
アサド政権は父親の代から、協力な秘密警察で国民を監視し、徹底的な個人崇拝で恐怖支配を敷いた。北朝鮮の独裁政権と同じようなものと考えればわかりやすいだろう。p.165
ISに誘発されたテロが流行期に入ったと指摘。
各地でのIS支持者によるテロも、繰り返し指摘してきたように、いまや完全に大流行期に入っており、しばらくは世界各地で頻発するものと思われる。p.117
その対策は、
重要なのは孤立化させることである。
とにかく中間層を離反させること、狂信を大衆運動から隔離すること、これがテロ対策でもっとも必要なことなのである。p.194
では。
[参考]
著者インタビュー
http://best-times.jp/articles/-/1605