森川亮 ダイヤモンド社 2015/5
元LINE(株)代表の経営論。経営のセンターピンを外さないということなのですが、宗教のように何かをやったら、ご利益があるような話ではありません。率直にモノを言う企業文化づくり、何度も議論を重ねる企画のプロセス、緻密な市場調査など、地道な作業にも触れてあります。
大切なのは、「考える」こと。人が悩むのは「表面的な価値」に惑わされているからです。だから、「何が本質か?」を考え尽くさなければなりません。p.4
社長の仕事については、
彼ら(社員)の邪魔するものを取り除くこと。そして、何か必要なものがれば用意すること。彼らの「熱」を守る事こそが、最大の使命なのです。p.25
LINEが、億を超えるサービスを開発する前には、社内の停滞がありました。p.87 取り組んだのが人事制度。
全社員の給料をリセットすることにしました。これからは成果を出し、ユーザーに大きな価値を提供している人から優先的に給料を支払います。p.88
シンプルですが、なかなかできないことです。次が、企業文化の変革。率直に意見が言える空間を作っていきます。p.94 社内の喧嘩を止めない理由は、
優秀な人ほど喧嘩をしないのです。
彼らも人間です。カチンとくることを言われると腹を立てる。だから、喧嘩になる。だけど、すぐに気づきます。彼らは「いいもの」が作りたいと思って腹タイていますから、喧嘩している時間がもったいない。p.99
それでも喧嘩を続ける社員は、
彼らは自分のために戦っている「自分の正しさ」を守るために、相手を攻撃して止まないのです。決して、ユーザーのために戦っているわけではない。
モチベーションについては、
会社や上司にモチベーションを上げてもらわなければならない人は、プロとして失格だと思うのです。p.110
マーケティングについては、
僕は、ユーザーの声を表面的に聞くのではなく、それを掘り下げて考えることだと思います。p.190
この経営手法をそのまま使える会社は、少ないとは思います。しかし、センターピンを外さないということを徹底したということは、大いに学べるのではないでしょうか。むしろ、海外に展開するときには、こうしたストレートな経営を検討するのもよろしいかと。
では。