2000年の同名の著書に加筆して復活した新書。学ぶことが多いです。まずは、人事の話。
真珠湾攻撃の責任を問われてキンメルが解任されたあと、一人置いた後任の太平洋艦隊司令長官にミニッツが大抜擢されました。p.24
日本軍が、最後まで責任を曖昧にしたままだったのに対して、米軍は信賞必罰と抜擢人事を貫きました。当時、ミニッツ氏は、26番目の少将からの抜擢でした。
一方、一方日本軍は、ミッドウェー作戦直前に、人事異動をおこなっています。海軍は12月に定期異動があったのですが、戦争で遅れました。そのつけを国の命運がかかる作戦の前に清算しました。海軍は、有事にあっても、平時の人間感覚で行動していました。今の東芝は有事だと思うのですが、平時の感覚で人事をしているようにも見えます。
日本の組織の参謀重視(大将は悠然と構えているだけ)が形成されるくだりが、p.54にあります。
第2章では、情報戦について語っています。
”情報を読み解く総合知”とは、つまるところ、歴史と教養、先見性に基づく情報の読み方になります。そうした総合知を持つ人間だけが、情報を正しく読み解ける。p.83
主な注意点は、4つ。
- 成功体験を捨てる
- 先入観を持たない
- 異なる意見を参考にする
- 60%で判断する
情報重視は、アメリカの情報参謀の扱いに現れています。P.151 ミニッツが太平洋艦隊司令長官に赴任した時、キンメル麾下の参謀たちは責任をとってほとんど退職した。しかし、ミニッツは、情報参謀のレストンだけは残している。レストンは、ミッドウェー海戦を見破り、ミズーリ艦上の降伏調印式に出席している。
現代の経営の応用は、レスター・サローの言葉を引用。
「マネジメントとは、結局のところ、失敗する前に方針を変えるよう説得することだと思う」 p.127
本当のリーダーはいかにあるべきかは、p.139以降。
1.権威を明らかにすると同時に責任をしっかりとる。
2.組織の目標を明確にするための決断をすること。
3.焦点の場に位置せよ
4.情報を自分の耳で確実に聞くこと。
5.規格化した理論にすがらない。
6.部下に最大限の任務遂行を求める
先の大戦から最大限学ぶことが、現役世代の義務と思わせてくれる一冊でした。
では。