日下公人 祥伝社 2014
日下先輩の最新刊。2014年の静けさを日本が破っていくという論旨。以前の著作にもあった優位戦思考に基づく行動が紹介されています。
1919年、第一次世界大戦後の国際体制を決めたパリ講和会議で、日本は人種差別撤廃案を提出している。p.26
国際連盟に委任統治領という仕組みをあたらしく作ったのは日本だとは知りませんでした。
新しい日本人の人物像は、 p.42のとおり。
- 決して秀才ではない
- 優位戦思考を持っている
- 今までにない感性を持つ
- ものごとをストーリーで表現できる
結果として、p.114にあるように”muddle through” できる人間となる。
現代の認識は、p.168。
今、進行している経済のグローバル化は、本質的には国を必要としていない。巨大企業は税金が安くて、インフラが整っていて、労働力が安い場所を探してさまよう。
つまり現代は、世界の仕組みが大きく変わろうとしているという点で、第一次世界大戦後にきわめて近い。
共産主義については、手厳しい指摘。
「革命とは国有財産泥棒だ」 p.63
(中略)
確信から何も生まれない証拠に、ソビエトは70年で消えてしまった。毛沢東の中華人民共和国も、鄧小平の時代に消滅したと言っていい。名前こそ続いているが、まったく別の国である。共産主義で平等になろうなどという理想はなくなっている。
日本のプラグマティズムについては、p.75
西洋の科学技術を導入するために設置された工部大学校が、1886年に東京大学に統合され、帝国大学工学部になったが、大学に工学部が置かれたのはそれが世界初だった。
最後に、金融革命が起こって、再び信用組合の時代になると予測されてますが、結果は如何に?