悲しんでいい
高木慶子 NHK出版新書 2011/7
神戸の修道女による、グリーフケアの書。被災者とのコミュニケーションに有益な本でした。
Griefとは、さまざまな喪失体験から生じる「負」の感情。p.10 グリーフは、3つの段階があります。p.166
1. 活動
とにかく目前のやるべきことに必死になる
2. 深い悲しみ
現実に心が向く
3.亡くなった人との関係を再構築
周囲の人が行う心のケアとは、あれこれ世話を焼くことではなく、相手の方と時間と空間を共有することと説いています。
「相手を傷つける7つの態度」は下記の通り。p.94
- 忠告やお説教など、教育者ぶった態度。指示をしたり、評価したりするような態度
- 死という現実から目を背けさせるような態度
- 死を因果応報論として押しつける態度
- 悲しみを比べること。
- 叱咤激励すること
- 悲しむことは恥であるとの考え
- 「時が癒してくれる」などと、楽観視して安易に励ますこと
阪神大震災の被災者で子供をなくした母親が、周囲からして欲しかったことは、
一人にして欲しい。何もしてほしくない。
夫と娘の面倒をみてほしかった(本当のひとりになりたかった。) p.57
ダメージからの回復には時間がかかります。回復に向かっていると感じる、という調査結果が出るのは、4年6ヶ月後。
一方、加害者には、敵意が向かいます。JR福知山線脱線事故の事例が紹介されています。筆者は被害者と加害者が共にグリーフケアについて学ぶ講座を開設。両者がひとつの空間で学ぶという試みは、東京電力に、この教訓を生かして欲しいと訴えています。p.158
読み終えて、私は、コミュニケーションのひだの部分については、気配りがかけると思いました。今後、被災地に入る時には、気をつける所存です。