IDOL DANCE!!!: 歌って踊るカワイイ女の子がいる限り、世界は楽しい
竹中夏海 ポット出版 20112
パスポの振付師によるアイドル論。2011年でピークと思われたアイドル・ブームも、キンタロー。と潮騒のメモリーズで最長不倒を更新。2014年に迎えるにあたり、もう一度、アイドルについて整理すべく熟読。
本書の素晴らしいところは、アイドルダンスを理路整然と説明できるところ。大学で幅広く舞踊を学んび、現実のアイドルの振り付けをしているということで、アイドルダンスを客体化できています。
キャンディーズ以降をあらためて振り返ると、ダンサーの視点からみても、アイドルのダンス・レベルが上がっていることを理解できます。昔のアイドルの振り付けは、「歌っているときの所作」だったなと。
アイドルダンスの特徴は、2つの同期(シンク)。ひとつは、歌詞と踊りのシンク。もうひとつが、歌手と観客の同期です。
確かに、「年しぃ~たの男の子」の振付は、手話のように意味を受け取りました。毎週、テレビで同じ振付を見るので、学校で友達とピンクレディーする女子続出というのは、バレエではない世界。今年は、それが、おにぎりダンスとなって、タクシー会社にまで届いてしまったのでした。
本書読んで最も興味深いのは、この本が売れたことです。かつては、ダンスについて語ろうとすると、講演とかテレビでないと、説明ができませんでした。本に、写真をいくら掲載しても、動きが相手に伝わりません。それが、いまは、この本で言わんとすることを正確に理解できます。スマホとYouTubeがあるためです。
むしろ、時代は、逆の流れになっており、YouTubeで面白いと思われなければ、売れないようになってきています。昨年のPSYのヒットは印象的でした。もちろん彼をGangnam Star にした裏方の働きは素晴らしかったわけですが、まずは、映像でアピールしなければならない時代になってきています。20年前、インドの映画が何でも踊りだすのに非常に違和感を覚えたわけですが、今や、
Ich bin ein Inder.
な今日このごろ。Kenichi Ebina のプロデュースに日本のプロダクションがどうかかわるのか、興味をもって観ております。
参考
振付師・竹中夏海さんが書いたアイドルダンスの本がスゴい! - 週刊アスキー
PASSPO☆などの振付師・竹中夏海さんが初の著書『IDOL DANCE!!!』を上梓。本を出すに至ったキッカケやアイドルダンスを巡るダンス業界の裏側を訊いたぞ!