【本】なぜ日本は変われないのか


山本七平 さくら舎 2011/12

初出が1975年にもかかわらず、今なお読む価値がある本です。
焦点となるのは、官憲主義と全体主義。前者は、一部の選ばれた集団が政治的存在とされます。後者は、国民すべてが政治的存在とされます。
本書は、官憲主義がもたらした思想、制度、組織が、全体主義によって周期的(15年周期)に排除されてきた歴史を指摘しています。
その原因として指摘されるのが、日本には組織(システム)という概念がないこと。ここで組織とは、分解可能であり、交換可能な部品から成り立っている集合体のことです。しかし、日本の 組織なるもの は部品の交換が成り立ちません。あるのは「家族(ファミリー)」だと喝破します。
たとえば、日本で解雇とは、社会として処罰と受け取られており、社会は解雇された者を処罰された者とみなす。従って処罰でない解雇はすべて不当解雇である。インパールでの敗戦でも、責任者の任を解くことができなかった日本軍を例にあげています。
組織は目的を持つが、家族は持たない。存続すれば十分な存在。自らの崩壊を防ぐことが目的になっています。
家族は、客観的な公理などに基づく権威を主張してはならない。そういう人は権力的という非難のものに、調和を乱す者として排除される。結果、最も非権威的な者が指導者になる。
そういえば、最近の首相も、「ノーサイドにしましょ」と言って代表になってましたね。

では。

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