【本】アジア・ビジネスの法務と税務

東京青山・青木・狛法律事務所編 中央経済社 2011-08

こんな本が出てくるなんて素晴らしい時代になりました。アジアの主要国に進出する際の法務・税務知識が体系的にまとめられています。

カバーされているのは、中国、インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、香港とインド。著者の事務所の名前も長いですが、中身も620ページ、価格6,800円とクォーターパウンダー・バーガーな仕上がりとなっております。が、その価値はあります。20年前は、こうしたデータを集めるだけでも、一苦労でしたので。

アジアに進出する際には、本書のような外から調べられる情報と、現地情報が必要です。本書は、前者なわけですが、国を横断して一覧できるところが素晴らしい。読み進めると、バラバラだったアジア諸国が、投資を引き寄せるために、収束していっているのもわかります。

雁行モデルに引きずられ、日本に習っているのかなと思いきや、さにあらず。シンガポール、香港といった、米英法のエリアが最初に投資を呼び込み、それにならって、インド、マレーシアといった旧イギリス植民地が続き、周囲も規制緩和を進めていった印象を受けました。(あくまで通読した印象)。

当たり前のことではありますが、「どこの国に行こうかな」という視点で読むと、自由な国を選んでいます。他国民を差別せず、信賞必罰で、役所へのペーパーワークに忙殺されない国です。

本書を読むと、日本でTPPが紛糾するのは、「出ていく」苦労をした人が国会議員にほとんどいないからかもと、思ってしまいます。

日本との比較があれば、より理解が深まったとも思いました。

では。