【本】官僚のレトリック

官僚のレトリック
原英史 新潮社 2010/05

元行革大臣補佐官による、霞が関改革論東洋経済:2010年上期政治書の第3位。「レトリック」とは霞が関修辞学を指し、公務員制度改革に対して、官僚が修辞学を武器にどのような抵抗をしたのかを具体的に記しています。

理論的な背景は、『日本の統治構造』と同じですが、元官僚で、渡辺大臣の下で働いていた本人が書いたところに大きな意味があると思います。脱官僚の要しは、第5章にまとめられています。

  • 官僚を使いこなす前に、まず官僚を選べ
  • 閣議を“お習字大会”から討議の場にせよ
  • 「人事院」と「身分保障」を廃止し、「官僚は特別」論を駆逐せよ
  • 改革の戦術論は、過去の成功と失敗に学べ
  • 「脱官僚」に足る政治家を揃えよ

他にも、民主党の公務員制度改革のつまづきが、日本郵政社長人事にあったこと。鳩山首相は「政権をとったら次官、局長の全員に辞表を出して貰う」と言っていたにもかかわらず、できなかったこと。官邸に国家戦略を練る司令塔を作れなかったことなど、それぞれが、どうして公務員制度改革に重要なのかがよくわかります。

大きな改革を成し遂げるには、壮大なビジョン、コミュニケーション力、そして、工程の細部で手を抜かないプロフェッショナリズムが必要なんだなと顕メテわかりました。

では。

【参考】