【本】政治家の殺し方


中田 宏 幻冬舎 2011/10
GMOの講座で話を伺いましたが、その後、こんなに苦労されていたのですね。3つの論点があります。
 第一は地方議会。自分のイメージする市議会(小さい)と、実際の横浜市の予算(大きい)のギャップで、さまざまな問題が起きているように思いました。
 読み終わってしばらくすると、権力闘争というのは、そもそもこういうものだという思いがよぎります。中央公論(3月号)に掲載された佐藤優さんの論文を読むと、本物の暗殺をも手段に入れる国際政治の厳しさがわかります。その後では、このぐらいの中傷は起こりうると思いました。有権者はそれぐらいの感覚で情報を処理すべきなのかと。
 批判されている議員がインタビューを受けています。こうした情報も比較した上で、理解すべきかと。
 第2が市役所。クールビズ、出張旅費、特殊手当の話など、役所というのは「慣性」が非常に強いのがわかります。「死ね」メールとかは、驚きますが、本人が異常な行動だと思わないところが重要ですね。それぐらい「慣性」が強い。役所というのはそういうところであり、時々、外部から「おかしい」と指摘されることが重要なのがわかります。
 第3が、メディア。本書以外でも劣化が指摘されていますが、都市部の地方議会は盲点になっているのではないかと思いました。地方は、地方紙が「本業」として取材していますが、都市部は、全国紙が余力でカバーしている感がありますね。市の予算は大きいのに、メディアからの批判はむしろ薄い。
 政治家が大変が職業だということは、よくわかりました。過去20年の経験で、政治家を選び間違えると、自分の生活に響くと実感しました。自分が出馬しないなら、ただ批判するだけでなく、政治家を育てて、しかるべきポジションにつけるのが大切なのですね。