The Rise of the Creative Class–Revisited: Revised and Expanded
Richard Florida (2012)
2002年の前著『クリエイティブ資本論』を大幅に刷新した本。10年間のアップデートを織り交ぜながら、創造力(Creativity)が社会に与える影響を分析しています。
経済、職場、人々の生活における変化を追いかけるのは、他の経済学者でもやっていることですが、本書の特徴は、地域分析。Creative Class が分布するのは、3つのT、①技術(Technology)、②才能(Talent)、③寛容性(Tolerance) のある都市であり、そうした地域の富を生み出す力があるという主張は、変わっていません。
新版では、Part Vが追記されており、富の不平等についても、論じています。
私の感想は、それほど変わりません。ひとつは、”Creative Class” という対象が広すぎて、やはり、スっと腹に落ちないこと。
もう一つは、北米の都市分析では、頷くところが多々あるが、世界に適用した時に、首をひねるところがあることです。P.271から、4つの世界地図が掲載されており、それらを比較してみると、興味深いことがいくつも出てきます。
参照: Creativity and Prosperity: The Global Creativity Index.
面白い国は、中国。①技術ではトップレベル。②才能は中クラス。③寛容性は下位。なので、創造力では中位という結果。中位の創造力で、世界第2位の経済大国になれるでしょうか。
家族類型を加えて仮説を作るなら、アメリカは、絶体核家族。移民が容易な社会であり才能は集まりやすいが、排他的。なので、③寛容性が貴重な要素となって、②才能がそういう都市に集まり、①技術が発展する。
一方、中国は、共同体家族な国。平等を重んじる価値感が共有されており、③寛容性は、②才能を引きつける決定的な要素ではない。(ここは漢民族を想定しており、周辺地域で起きている衝突は考えない)。問題は、むしろ、権威主義的なところで、能吏はそれこそ、掃いて捨てるほど、どの都市にも存在するが、彼らが創造力豊かなわけではない。むしろ、キャッチ・アップで、爆発的に能力を発揮した。というところでしょうか。
では。