【本】アマゾンと物流大戦争

アマゾンと物流大戦争

角井 亮一 NHK出版新書 2016/9

物流コンサルタントによる物流業界のレポート。ネットがリアル世界を変えているのがよくわかります。

インターネット登場以降の物流センターでは、いかに優れたオペレーションがあるかはもちろん、それを管理して運用するための洗練されたソフトウェアを持っているかどうかが、今まで以上に重要になりました。p.16

たとえば、包装の箱。アマゾンは、

顧客が何を注文したかによって、どのサイズの箱を使えばいいのか、そのアルゴリズムをソフトウェアとして持っているのですp.16

アマゾンは、この品質を実現するため、2012年までに1.4兆円を物流の整備に投資しました。p.17 この差がECが伸びるとさらに効いてくるわけです。

EC化率は、日本は4.75%(2015)、米国は7.0%、英国は12.4%。p.24

消費者庁の調査(平成25年度消費者意識基本調査)によると、この1年でネット通販を利用した人は43.9%になるそうです。チラシやダイレクトメール等を含むカタログ通販が37.3%、テレビ通販が12.7%  p.43

第一章は、日本の物流業界の変化を説明しています。中小企業の集合体である楽天と比較しながら、EC業者の物流戦略の違いを解説。

ロジスティクスを楽天は短期で買えるもの、つまりコストだと考え、アマゾンは長期で構築する投資だと考えた p.55

アメリカの失敗例として、webvan.com を挙げています。p.56

物流はソフトウェア、インフラ構築、人がポイントです。 p.58

Amazonと好対照な成功事例としてカクヤス。同社が優れているのは、

商材をお酒などの飲料品の一部の食品に限ることで、店舗そのものをストックポイントに位置づけた点 p60

アマゾンの物流へ意気込みが伝わるのが2012年、キバ・システムズを$770 mil で買収したこと。

こうした自走式ロボットを使った仕組みは、ベルトコンベアーを塚田t自動化システムが設置までに12~18ヶ月と時間がかかるのに対して、数週間で設置することができ、商品が売れ行きに応じて棚の配置を臨機応変に変えられるなど柔軟性が高く、 p.92

2014年に公開された資料によれば、すでにキバのロボットは10か所の物流センターに3万台以上が配備されています。(中略) キバのロボットを1万台配備することで、時給14ドルのスタッフ2万5000人分に相当するそうです。物流センターの運営費を20%sageたというレポートもあります。p.93

第2章は、ウォルマートとの比較。同社の物流のこだわりは、価格戦略(Every Day Low Price)にも反映されています。

流通業界において最終顧客の需要が変動することにより、その上流に位置する工場や物流センターほど大きな影響をうけることを、経営学の世界では「ブルウィップ効果」(Bullwhip Effect) と呼びます。その名の通り、需要のぶれが鞭のように流通の上流へさかのぼり、大きな影響を与える様を表しています。p.108

第3章は、ネットスーパーの分析。アメリカのPeapodなどの分析から、教訓を導きます。

https://www.peapod.com/

ネットスーパーの鍵が、「いかに小商圏で、短期間に会員を獲得するか」にあることがわかります。 p.156

ネットとリアルが融合するに連れて、兵站の重要性が増すのがよくわかりました。

では。