【本】世界経済危機

世界経済危機 日本の罪と罰

野口悠紀雄 ダイヤモンド 2008/12

野口先生の最新作。週刊ダイヤモンドの連載と同じ主張になっています。先日ご紹介した”When Markets Collide”と同じく、世界経済の構造的な変化をとらえ、日本経済の誤解を指摘しています。
世界経済の見方は、資金供給国の日本、新興国、産油国と過剰消費のアメリカという不均衡におくのは、When Markets Collideと同じです。しかし、空前の為替介入をしながら、不胎化しなかった日本をサブプライム問題の共犯者と捕らえています。
日本の産業構造は古いというのは、以前紹介した、『円安バブルの崩壊』と同じ。アメリカ一極主義や投資銀行の終焉というステレオタイプには、厳しい批判を向けています。

資源価格の高騰についても、厳しい見方をしています(p.160あたり)。たとえば、原油。03年の世界消費量は35億トン。中国が2.5億トン。インドが1.2億トン。両国で1割。

一人当たり消費量でみれば、世界平均が539kg。中国は191kg。インドは114kg。両国が世界平均まで消費を伸ばせば、需要は9億トン増える。この需要サイドの要因が、第一次オイルショック(供給サイドの要因)との違い。

(長期の)価格弾力性という視点でみれば、食料は供給の価格弾力性が高いのに対し、石油は低いわけですね。

野口先生は、以前からの主張を変えていないわけですが、社会の振り子が大きな政府に触れたために、先生の主張が新鮮に感じるということでしょうか。

では。