コトラーのマーケティング・コンセプト
Marketing 3.0: From Products to Customers to the Human spirit
Philip Kotler 朝日新聞出版 2010/9
コトラーの最新作。「バーナンキは正しかったか? 」もそうですが、朝日は趣味がいいですね。
マーケティングのバージョンは、
1.0 製品中心
2.0 消費者指向
3.0 価値主導
と移行したと説きます。コトラーの役割は、グリニッジ標準時のようなものですね。似たようなことは他の人も言っていますが、MBAの教科書を書く人が認めると、そればビジネス界の常識になります。
現状認識としては、
今日のマーケターは、もはや自社のブランドを完全にコントロールすることはできない。p.26
ニューコークとイケアのロゴ変更の事例を参照し、
マーケティング3.0では、ブランドがいったん成功したら、当該ブランドはもう企業のものではなくなるということだ。p.85
とノベル。その結果目指すのは、
マーケティング3.0は、似通った価値やよ級を持つ経済主体の協業活動なのだ。p.29
となる。そして、ミッションの話になります。このへんは、キリスト教を感じますね。
その鍵は、「ストーリー」 優れたミッションの3つの特質は、
- 普通でないビジネス
- 人々を感動させるストーリー
- 消費者エンパワーメント
日本企業だと、恥ずかしがって、ずっと地味な社是を掲げそうです。
マーケティング3.0の原則は、以下のとおり。
1.顧客を愛し、競争相手を敬う
2.変化を敏感にとらえ、積極的な変化を
3.評判を守り、何者であるかを明確に
4.製品から最も便益を得られる顧客を狙う
5.手ごろなパッケージの製品を公正価格で提供する
6.自社製品をいつでも入手できるように
7.顧客を獲得し、つなぎとめ、成長させる
8.事業はすべて「サービス業」である
9.QCDのビジネス・プロセス改善を
10.情報を集め、知恵を使って最終決定を
No.8は、日本のメーカーが改めて考え直したいところです。
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