ウェブで学ぶ
梅田 望夫 飯吉 透 ちくま新書 2010/9
ネット上で進展するオープン・エデュケーションの本。具体的な動きがこれほど進んでいるのかと勉強になりました。
スティーブ・ジョブズや、パウシュ教授のスピーチを聞いた人は、すでにオープン・エデュケーションの恩恵を得てますね。
本書を読むと、そうした素晴らしい授業が、他にもあまたあることがわかります。たとえば、MIT Walter Lewin教授のこの授業。
http://www.youtube.com/watch?v=7Zc9Nuoe2Ow
ハーバードやMITが、こうした試みを始めたときに、学生からはあんなに高い授業料を取っているのに、無料で公開しちゃうわけ?と、その気前のよさに驚きました。
この提案を当時のMIT学長であったチャールズ・ベスト氏に伝える際に、副学長ボブ・ブラウン氏は、自ら学長室に出向いて、「この提案を受け止める気持ちの準備を、あなたができているといいのですが」と切り出したそうです。p.91
アメリカの大学のスゴイところは、決断力だけでなく、11億円もの資金をファンディングしてしまうところです。
p.108にオープン・エデュケーションの各国比較があります。教育については、家族類型の説明がよく当てはまりますね。直系家族は親(祖父母)が子供(孫)に教えるのが原則。先生・生徒の徒弟関係も固定的なので、どこの誰だかわからない人からモジュール的に教わるのは、なれが必要なのかなと思います。
むしろ、日本では、「小さな上下関係」をうまく使うと、オープンエデュケーションがうまくつかえそう。たとえば、野口英世は小学校4年生の時に、下級生に授業を教えいていました。IT知識のある同級生(上級生)が、他の生徒(下級生)をリードするようにすると、先輩後輩の良さを活かしながらITを使えそう。
日本でも、携帯スタディ王国が、Web 2.0的な受験問題創出で、結果を出しています。これは、モバイルデバイスを使って同年代の高校生が教えあう世界で、世界に冠たる教育モデルではないでしょか。
受験生を抱える親は、子供の進学の意味を再考することになるでしょう。世界最高の教材はそこに無料である。ならば子供をその学校に入れるのは、メンバーシップ(シグナリング)のためかと。
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【本書に出てきたホームページ】
第1章
http://arxiv.org/
http://precedings.nature.com/
http://www.eol.org/
http://www.elance.com/ フリーランスのマッチングサービス。
第2章
http://sakaiproject.org/ オープンソースLMS
http://www.edutopia.org
http://moodle.org
http://phet.colorado.edu/
A Vision of Students Today
http://oli.web.cmu.edu/openlearning/
http://nsdl.org/
http://www.curriki.org/
http://blossoms.mit.edu/
http://cnx.org/
http://www.flatworldknowledge.com/
http://www.merlot.org/
https://online-tl.org/
http://www.uopeople.org/