【本】富山の薬売り

富山の薬売り―マーケティングの先駆者たち

遠藤 和子 サイマル出版会 1993/5

江戸時代の富山藩の話ではありますが、現代日本(特に地方)の経済立て直しの参考になりました。

まず、富山は河川氾濫や豪雪に悩まされ、領民の暮らしは厳しかった。薬といっても、他藩でも製造が行われていた。薬の原材料が採れるわけでもない。

各藩では領国経済の傾向が強く、領内での自給自足体制を保つことに努め、正貨の領外流出を防いだ。このような両国経済、保護貿易体制下の時代に、富山の薬売りの商いの対象が領外にあり、外貨獲得をめざして全国に出かけたのである。p.2

それは、25歳の青年藩主、前田利幸の英断から始まります。(利幸は、17歳で藩主になり、34歳で亡くなっている)

  • 小さなきっかけを逃さない
    江戸城腹痛事件をチャンスに変え、各藩への入国許可をもらった。
  • 企業文化とのフィット
    遠国の町や村を丹念に回り歩く売薬仕事は、越中人に向いている
  • トップの即断即決
    売薬の育成を決めると、営業税の取り立てを停止 。藩の財政が危機的な状況だったのにもかかわらずに、この決断。
  • トップセールス
    各藩に営業許可をもらった
  • クロスセリング
    最初は反魂丹から始まったが、頭痛薬や目薬のニーズを逃さなかった
  • 先用後利の精神

日本経済再生のヒントは、身近なところにありますね。

では。

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