【本】次なる大恐慌

最悪期まであと2年! 次なる大恐慌
The Great Depression Ahead
Harry S.Dent, Jr. ダイヤモンド社 2010-01

タイトルから恐慌本と思えるのですが、人口動態の経済に与える影響を分析しています。様々なサイクルが出てくるので目が回りますが、家族形成に基づいた消費支出を計算することで、さまざまな経済動向を予測します。

図2-2(p.60) 「米国の世帯あたり支出額の年齢別平均値」をみると、消費のピークは、46~50歳。出生数をこの年齢分だけズラしたチャートとNYダウを比較すると、連動しているのがわかります。(図2-3) アメリカの支出の波が底打つのは、2020年頃です。

技術革新については、80年周期のNew Economy Cycleが紹介されています。

現状認識としては、バブル3兄弟の末っ子、商品バブルの崩壊を予測しています。

  • ITバブル(00年代初頭)
  • 不動産バブル (2005~2006) Case-Siller
  • 商品バブル(そろそろ?) CRB

地政学的リスクは、日本にいると忘れがちです。
http://www.marketoracle.co.uk/images/Chart2141107.gif

商品価格の動向を予測する上でも、チェックが必要ですね。

1930年代の歴史についても、振り返っています。(NYダウチャート

第5章では、各国の将来を予測しています。日本は、消費の核である45~50歳の世代が1990–1994年にピークアウトしており、長期の衰退を予測。2010年以降、先進国が軒並み同じ状況になるのがわかります。特に直系家族が調子悪いですね。ドイツ、スイス、韓国ともに支出の波が2010年前後にピークになり、急速に減ります。対照的にアメリカ、カナダ、イギリスの粘りがみてとれます。核家族地域は移民も受け入れますしね。

深刻なのは中国。一人っ子政策のおかげで、豊かになる前に支出の波がピークアウトしそうです。

アフリカ諸国の支出の波はきれいに右肩上がり。これが、かつては普通だったんだよなと感慨深いものがありました。

原著が世に出たのが2008年なので、「あと2年」は今年。残り僅かですが、株価の推移を注視したいと思います。

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