海老原 嗣生 プレジデント社 (2009/5)
リクルートOBが、データを示して雇用の常識を検証します。
いかに風評が強力かという例として、未成年の凶悪犯罪を挙げています。
- 殺人のピークは1960年で、当時は直近(03~07年)の約6倍
- 強姦の58~67年の平均は年4000件超。直近は約120件
など、意外と思う数字が並んでいます。
- 終身雇用は崩れた
- 派遣が増えて正社員が減った
というような労働界の常識にデータを示します。
現在と生産人口が同じだった1984年と比較すると、正社員は108万人(3.2%)増えているのですが、非正規社員1128万人増えています。(p.57) 雇用者が増えて、自営業・経営者が598万人も減っているんですね。単純に正社員が減って、非正規社員が増えたというのではありません。
検証されるのは、
- 終身雇用は崩壊していない
- 男子正社員の50代25年勤続率は51.2%
- 長期勤続年数でみた場合、日本とEUはほぼ同じ
- 転職は一般化していない
- ここ20年では1~2ポイント上昇したのみ
- 就労者のシェアが、非正規、女子で高まったため、全体の転職率が高まった
- 若者の就労意識は30年前のまま
- 大学卒業後3年での離職率はもともと高かった
- 本当の成果主義なんて日本に存在しない
などなど、この1年でメディアをにぎわせた話題の多くの根拠が薄いのがわかります。原因を考えると、やはりTVですね。絵になりやすい映像に世論が引きづられるんですね。
では。
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