3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代
城繁幸 ちくま新書 (708) 2008/3
前作『若者はなぜ3年で辞めるのか? 』の続編。若者が辞める原因は、企業が依然として「昭和的価値観」で運営されているのに対し、若者の平成的な価値観とズレているのが、さまざまなインタビューによって浮き彫りになってきます。
昭和的価値観とは、たとえば、次の通り。
- 若者は、ただ上に従うこと
- 実力主義の会社は厳しく、終身雇用は安定しているということ
- 仕事の目的とは、出世であること
- 失敗を恐れること
- 公私混同はしないこと
- 新聞を読まない人間はバカであるということ
先日ご紹介した野口先生の「戦後日本経済史」を人事担当者からみた話になっています。 それが、もう通じなくなってきているというひとつのデータがp.155で紹介されていました。
上場企業人事担当者100人に行われたアンケートで、「バブル世代」(40歳前後)で課長に昇格していない者が、今後ポストにつけると思うか?」という問いに対し、「ない」と応えた企業が55%にも上がったのだ。ちなみに元時点での40歳課長率は、回答各社平均で焼く26%。おそらく、6割以上の人間は、生涯をヒラとして終えるに違いない。”万年課長”という言葉は、今や褒め言葉の一つなのだ。
たしかに、身につまされる話であります。ここのインタビューも面白いのですが、第3章の「左翼は労働者の味方であるということ」は、労働者に3つのヒエラルキーがあることを喝破しており、参考になりましたp.209。
まず、最上位に位置するのは、かつての定期昇給の恩恵を受け、20代の2倍以上基本給を手にする中高年正社員だ。(中略)
次に、入社以来、定期昇給を知らない団塊ジュニア以降の正社員が続く。彼らは昇給昇格に厳しいハードルが課され、50過ぎまで商況し続けた先輩世代と比べれば、生涯賃金で少なくとも3割は減るはずだ。(中略)
彼ら(非正規雇用労働者)は年齢給や賞与、退職金もなく、雇用継続の義務もない。しかも、彼らを非正規として使い倒すことで得た利益は、正社員労組から”ベア”として持っていかれる。これを搾取といわずになんと言うか。
日本の問題は、世代間格差になってきましたね。
では。