銀行にかかわる法律を、業務ごとに解説した良著。著者の階氏は、銀行に勤めながら司法試験に合格し、銀行の社内弁護士として働いていました(プロフィール)。新書にふさわしく、平易な表現で実務に役立つように法律を解説しています。
ちなみに彼は、本書を書き終えた後に衆議院議員となり、銀行関連の法案策定にもあたっています。
図表0?1「銀行業務に関連する立法状況」(P.10)を見ると、銀行にかかわる法律が、これほどたくさん新設されたかと驚きます。私も、銀行を離れて長くなりますが、もはや法律知識なしに金融業はできないと実感しました。
昔の銀行は、歩行者天国を歩いている歩行者のようなもので、法律なんか知らなくても、前(大蔵省)・横(他行)・後ろ(過去の実務)を見て歩いていれば事故に遭うことはなかったが、今の銀行は、高速で好きな目的地に行けるスポーツカーのようなものだから、法律の知識を持たずに業務を進めることは、信号や道路標識の意味を知らずに運転するのと同じだ(P.12)
というコメントに頷いてしまいます。
ただ、中身は平易に書かれていて、NTVの「行列のできる法律相談所」を見ているような感覚で読めます。また、内容についても、
貸金庫に預けたりする場合は、銀行が破たんしても全部戻ってくるそうですが、どうして預金だけは全額保護されないんですか(p.17)
など、銀行関係者ではなくても、興味のあるものが含まれています。
個人的には、クレジットカードや電子マネーが為替取り引きにあたるかどうか(p.87?)が興味深かったですね。前払い式の電子マネーは、プリカ法で規制されますが、後払いの電子マネーは、為替取り引きにはあたらないんでしょうか。
では。(^^)/^
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